オフショア法人の銀行の選び方とその注意点

オフショア法人

タックスヘイブンで設立されたオフショア法人の銀行口座開設は、非常に重要なプロセスです。ここでいうタックスヘイブンとは、法人税や所得税等が非課税、もしくは非常に低く設定されている国や地域を指します。また、プライバシーや金融情報の保護が制度的に強化されており、法人設立に際しても、その株主や役員の情報は公開する必要がなく、セキュリティの強化が図れます。また、規制が緩やかなので、資本金、取締役と株主の数など会社の構造について柔軟性が高く、オフショア法人の設立や継続も他と比べて少ない要件で可能になっています。そのため、タックスヘイブンで設立されたオフショア法人は、税制を含め、様々な優遇措置を受けることができます。この優遇措置は、企業の利益を最大化し、競争力を強化し、法人の維持という点で大きなメリットとなります。そのため、オフショア法人の持つ銀行口座は、国際ビジネスにおける資金管理、資産運用、税制対策など、様々な面で重要な役割を果たしています。

オフショア法人が銀行口座を開設するにあたって、いくつかの注意点があります。まず、世界中の銀行口座へ送金できる事が重要です。これは、国際的なビジネス活動において、迅速かつ低コストで資金を移動する必要がある場合に特に重要になります。また、複数の通貨で取引できる事も外せません。そして、その為替手数料にも注意を払う必要があります。より多くの顧客を獲得するために、為替レートを低く設定している場合があるためです。また通常、海外送金を行う際には、送金元銀行と送金先銀行の間に中継銀行を介する必要があり、この中継銀行は、送金処理の役割を担いますが、その手数料として中継銀行手数料が発生します。そのため、世界各国の銀行と直接取引していて、中継銀行を介さずに送金できる銀行で開設すれば、中継銀行手数料を節約することができます。このように、中継銀行手数料の削減、取引通貨の選択、競争力のある為替レートの提供など、様々な理由によって為替手数料を節約することのできる銀行で口座開設できれば、利益増加やコスト削減による競争力強化というメリットに生まれ変わります。

しかしながら、タックスヘイブンを節税や資産管理に利用するといった本来の目的から外れ、マネーロンダリングなどの違法行為や、過度な節税による脱税などの歴史から、規制が強化されているのも事実です。日本でもタックスヘイブン対策税制のその中身が拡大され、簡単には節税を行うことが難しくなりました。また、国際的に見ても、租税条約を多くの国が締結するなど、違法行為や過度な節税に対する監視が厳しくなっています。さらに、OECD(経済協力開発機構)やG20は、オフショア法人の透明性を高めるため、課税ルールの見直しをしています。これは、ごく一部のオフショア法人が行っていた過度な租税回避行為に対応するもので、各国の税務当局が協調し、実態に即したものに国際課税ルールを見直そうとする動きです。このような流れの中で、銀行口座開設に関しても、開設の審査が厳しくなっています。

そのため、オフショア法人やタックスヘイブンを利用する際には、様々な規制やコンプライアンスに関するリスクを十分に理解し、適切な対策を講じることが重要になります。まず、規制やコンプライアンスに関する情報は日々変化するため、最新情報を収集し、対応していく必要があります。しかし、自社内で情報を追い、その変化に対応していくには、時間と人的コストが膨大になります。そうしたコストを削減するためにも、信頼できる専門家への相談は欠かせません。銀行口座開設に関しても、情報を持ち、分析しているため、法人の目的に沿った最適な銀行での開設を提案してくれます。さらに、タックスヘイブンでは、納税が発生しないため、決算や監査の必要がありませんが、最低限の経理作業とその保存義務が発生します。また、法人維持のためには設立地域に法人登録費用を支払う義務もあり、一切の業務について提案してくれます。そのような、オフショア法人設立やその維持に限らず、銀行口座開設、コンプライアンス対応など様々な要因から、専門家によるサポートを受けることで、それらの業務を労力をかけずにできるようになるため、専門家の存在が必要になっています。

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